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母の入信理由と後遺症(井田雫)

はじめに

この記事は決して1世の方を責めるつもりはなく、ただ自分自身の気持ちの整理のために書いたもの。

ただ、伝道活動をされてきた方には痛い内容にもなりうるので、ご無理はなさらず。



母の入信の理由

私の母の入信理由についてはこのホットラインでも、私のnoteでも度々書いてきた通り

「子ども・家族がこのままだと不幸になる。神様の勉強をしないと」

がきっかけであった。

年代で言ったら以下の図の②の時期にあたる。

※図は有志の方が作成(ご自由にお使いくださいとのこと)

当時の世の中への影響をこのように見てみると、ここで規制がしっかり行われていたら私の苦しみはなかったかもしれないな・・・と思うポイントはいくつもある。

我が家が影響を受けた時期としては30年以上前になる。

この当時にやっていたやり方は「今は」やっていない、と言われたらそれまでだろう。

それは私自身も理解している。


ではなぜ今こんな話をするのか。

それは「後遺症」としてずっと続いてきたものであるからだ。

noteの記事にも書いてあるが、入り口で半ば脅されるような、呪いのような話をされたが故に不安に駆られて引き寄せられてしまったのが私の母だ。

母は話したがらないため、そのような恐怖心を煽るようなことを言われたのは勧誘の時だけなのかその後も続いたのかは定かではない。

しかし、入り口で引っ張られた恐怖心をそのまま持ち続けていたからこそ、私の健康や運勢が良くなるように、と統一教会にお金を費やしてしまった部分がある。

少しずつ少しずつ思考を支配し、価値観のすり替えを行い、人生の半分近くの長い時間をかけて冷静な判断力すらもなくなるような状態になっていったのは「後遺症」のように思う。


その背景には


・当時得られる情報量の少なさ(携帯がない時代)

・嫁いできた家や周囲との人間関係の悩み

・子育てへの不安、孤立


これはいつの時代も変わらない社会問題として意識し続けなければならない問題だと思っている。

特に昔は政府のやっていることが全て、テレビが全て、家人の言っていることが全て。

極端に選択肢が少なく狭い世界の中で、さらに子育てへの不安の中でそのようなことを言われて不安に駆られた母の気持ちを思うと、私はどこに怒りをぶつけたら良いのかわからないのである。

これだけ見ると母も被害者と言えるからだ。



加害者性

しかし母は伝道もしているため、他人を巻き込んだという意味では被害者であると同時に加害者にもなっているのは事実である。

もちろん一番悪いのは繁栄のために煽るような教育をしてきた組織だ。

煽られるように母も頑張ったおかげで所属教会は繁栄していった。

母は恐怖で煽るようなことはしてこなかった、とは言っていたためそれは信じたいのだが・・・。

やってきたことに対する罪の意識もあるのだろうと思う。

現役時代のことは話したがらないため、いまだに詳しい話は聞けていない。

私自身も正直なことを言うと母のしてきたことやどんな気持ちでやってきたのかを、今のメンタルでは受け止めるだけの度量がないため、触れないほうが双方にとって良いのかもしれない。



私の後遺症

2022年7月の事件後、色々知りたくて調べていたにもかかわらず何故「触れたくない」と言う感情に変化したのか。

母の入信理由を聞いたのは事件後だ。

私の存在をきっかけにされてしまった。

その話は、事件後に色々知っていく中でどんどんと重くのしかかっていった。

これはもう、後遺症というよりは「現行の心理的被害」とも思うくらいだ。


「自分がいなければ母の入信のきっかけに使われることはなかったのではないか」

希死念慮までは行かないが、消えてしまいたいという思いに駆られることも正直ある。

正直、知らなければよかったと思うことも。


おそらく、そのような理由で入信した主婦は少なくないと思う。

統一教会では信仰2世の苦悩の一つにもなりうる問題だとは思うが、これは他の教団でも同じような問題があるのではないだろうか。


母の信仰を否定することは、自分への愛情を否定することになる。

怒りのやり場がわからない。

教団に対する怒りはもちろんある。

ただ、「被害」というにはあまりにもわかりづらく、説明ができないものであるため、静かな怒りとして続いている状態である。

具体的な救済方法なんてない。

このように文章にすることで少しずつ少しずつ自分の気持ちの整理をしていくしかないのだ。



現役の皆さんへ

信者個人に謝ってほしいなどとは思わない。

ただ、どうか自分の所属する教団でやってきたことを「今はやっていない」「昔のことだ」なんて言わないでほしい。

当事者にとってはこれも今も続く苦しみの一つだからだ。

救済方法なんてないのに苦しみとして残るものが多くあるということを、色々な立場での苦悩につながるやり方をさせてきたことを知って欲しくて私はこのように発信をし続けている。

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